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Tuesday, June 2, 2026

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BASIC · FEATURE

高校3年間の動かし方

何を、いつ、どこまで

Beacon 編集部

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特集 · FEATURE

2026年6月2日|読了 10|Beacon 編集部

はじめに

海外大進学を考え始めたとき、誰もが最初にぶつかる疑問があります。

「いつから、何を始めればいいのか」

中学から準備しないと手遅れなのか。高2からでは遅いのか。そもそも何を、どの順番でやればいいのか。情報は断片的に出回っていても、3年間の全体像を示してくれるものは意外と少ないものです。

先に結論をお伝えします。準備は高1から始めるのが理想です。

「高3からでも間に合うのでは」と思うかもしれません。学力や英語のテストは、実は短期集中である程度挽回できます。TOEFL も SAT も、半年から1年の対策で大きく伸ばせる領域です。

しかし、時間でしか積めないものがあります。それが課外活動です。

米国大学の出願では、Common Application という共通願書で、課外活動を最大10個まで記載します。ここで大学が見るのは、活動の「数」ではありません。一つのことにどれだけ深く、長く関わったか。その中で役割がどう育っていったか。「3年間続け、メンバーから部長になった」という積み上げそのものが評価されます。

これは、高3の夏に思い立って作れるものではありません。だからこそ、海外大を少しでも考えるなら、高1から「好きなこと・続けられること」に取り組み始める意味があるのです。

もう一つ、大切なこと。海外大進学のスケジュールは、進学先の国によって大きく違います。米国と英国では、出願の時期も、求められる準備も別物です。「海外大」とひとくくりにできないのは、前回の「現在地」の記事でお伝えした通りです。

この記事では、高校3年間を「いつ・何を・どこまで」やるべきか、学年ごとのタイムラインに沿って整理します。自分が今どの位置にいて、次に何をすべきかが見えるはずです。

まず、学年の対応関係を押さえておきましょう。日本の学年と、海外の学年は呼び方が違います。

日本の高1は、米国の Grade 10、英国の Year 11 にあたります。 海外大の出願準備は、この「高1」から動き出すのが基本です。

TABLE 01

日本と海外の学年対応

呼び方は違っても、動き出すべき時期は同じ。

中3

成績の記録が始まる(米)

米国: Grade 9英国: Year 10

高1

土台づくり

米国: Grade 10英国: Year 11

高2

本格始動

米国: Grade 11英国: Year 12

高3

出願・決定

米国: Grade 12英国: Year 13

国・学校により多少の差があります。米国は中3(Grade 9)から成績が記録されますが、英国は中3単体の成績ではなく、GCSE(高1前後で取得する公的試験)を評価要素の一つとします。


高1(Grade 10 / Year 11):土台をつくる

高1は、派手な準備をする時期ではありません。むしろ、あとで効いてくる「土台」を静かに積む時期です。

学校の成績(GPA)を大切にする 海外大、特に米国は、高校3年間の成績(GPA)を重視します。高3だけ頑張れば済む話ではなく、高1の成績も評価の対象です。逆に言えば、高1から地道に成績を維持していれば、それ自体が強い武器になります。最初の1年でつまずくと、あとから平均を引き上げるのは大変です。

米国式では、成績の記録は中3(Grade 9)から始まる。 「高校から頑張ればいい」では、もう記録は始まっています。

ここで一つ、見落としがちな事実があります。米国式では、成績の記録は Grade 9(日本の中3にあたる)から始まります。つまり、海外大の出願で提出する成績証明書には、中3の成績も含まれます。特に最難関校では、この中3相当の成績も評価の対象です。

「高校から頑張ればいい」と思っていると、ここで足をすくわれかねません。中高一貫校に通っていて中3の成績がそのまま記録に残る場合は、なおさら注意が必要です。海外大を少しでも視野に入れているなら、中3の段階から成績を意識しておくに越したことはありません。

もちろん、評価の比重は学年が上がるほど大きくなり、最も重視されるのは高2の成績です。中3でのつまずきは、その後の上昇で十分に挽回できます。ただ、最初から気を配れるなら、それに越したことはありません。

英語の基礎を固める(まだ本番テストは受けない) この時期は、TOEFL や IELTS の本番を急いで受ける必要はありません。むしろ早すぎる受験には注意が必要です。これらのスコアには有効期限があり、後ほど詳しく触れます。高1では、単語力・文法・多読といった土台づくりに専念するのが正解です。

「好きなこと」を見つけて、続け始める ここが高1の最大のポイントです。前述の通り、課外活動は時間でしか積めません。部活、地域活動、研究、創作、ボランティア、何でも構いません。大切なのは「自分が続けられること」を見つけて、関わり始めること。この時点では実績や役職は必要ありません。種をまく時期です。

IB・A-Level を考えるなら、科目選択を計画する 国際バカロレア(IB)や英国式の A-Level を提供する高校に通う場合、あるいはこれから選ぶ場合、高1のうちに「どの科目を取るか」を計画する必要があります。IB Diploma は高2から始まる2年間のプログラムですが、その準備は高1の科目選択から始まっています。志望分野に必要な科目(理系なら数学・理科のレベル選択など)を、早い段階で見据えておくことが大切です。


高2(Grade 11 / Year 12):本格的に動き出す

高2は、海外大進学準備が本格化する年です。やることが一気に増えます。

英語試験(TOEFL / IELTS)に挑戦する 高2は、英語試験の本番を受け始める時期です。ここで「有効期限」が重要になります。

TOEFL も IELTS も、スコアの有効期限は試験日から2年間です。 高1で受けると、出願時には期限切れになる恐れがあります。

FIGURE 01

英語試験はいつ受けるべきか

有効期限2年。早すぎても遅すぎてもいけない、最適なタイミングがある。

高1で受験

早すぎる例

出願時に期限切れ

高1高2高3出願

高2前半で受験

やや早い例

ギリギリ有効

高1高2高3出願

高2後半で受験

理想

出願時に有効

高1高2高3出願
早すぎ(期限切れ)
ギリギリ
理想
出願時点

出願時にスコアが有効である必要があります。複数回受験を前提に計画を。

逆算すると、高2の後半から高3の前半にかけて受験し、目標スコアに届かなければ複数回挑戦する、というのが現実的なプランです。TOEFL も IELTS も、何度でも受け直せます。一度で完璧を目指すより、計画的に複数回受ける前提で臨むのが賢明です。

SAT / ACT の準備を始める(米国志望の場合) 米国大学を志望するなら、SAT または ACT のスコアが必要になる場合があります(近年はテスト任意の大学も増えていますが、提出した方が有利なケースは多くあります)。高2で対策を始め、高2後半から高3前半に受験するのが一般的です。こちらも複数回受験が可能です。

課外活動を「深める」 高1でまいた種を、高2で育てます。単なる参加者から、企画する側へ。後輩を指導する側へ。大会やコンテストに挑戦する。小さくても「成果」や「リーダーシップ」と呼べる経験を積み始める時期です。Common App の活動欄で評価されるのは、まさにこうした「関わりの深まり」です。

志望校をリサーチする どの国の、どんな大学に、どの分野で行きたいのか。高2のうちに少しずつ情報を集め始めます。国によって出願時期も求められる書類も違うため、早めに「自分の志望ルート」の輪郭をつかんでおくと、高3で慌てずに済みます。


高3前半(Grade 12 / Year 13):出願のラッシュ

高3の前半は、出願作業が集中する、最も忙しい時期です。そして、ここで国による違いが決定的になります。

英国志望:UCAS で出願する 英国の大学は、UCAS という共通システムを通じて出願します。日本の Common App にあたるものですが、仕組みは大きく違います。

UCAS では最大5校まで出願でき、エッセイ(Personal Statement)は1本で全校共通です。米国のように大学ごとにエッセイを書き分ける必要はありません。

締切が非常に早いことに注意が必要です。

オックスフォード・ケンブリッジ、医学・歯学・獣医学系は10月中旬が締切です。 これを逃すと、その年は出願できず、翌年まで待つことになります。

その他の大半の大学は1月中旬が締切(equal consideration deadline)です。この日までに出願すれば、すべての出願が公平に審査されます。

米国志望:Common App で出願する 米国の大学は、Common Application を通じて出願します。毎年8月に願書が開きます。出願方式が複数あり、それぞれ締切と性質が異なります。

Early Decision(ED)は、合格したら必ず入学する「拘束力のある」出願です。第一志望が明確な場合に使います。締切は11月初旬が多く、結果は12月に出ます。

Early Action(EA)は、早く出願して早く結果をもらえますが、拘束力はありません。複数校に出せて、合格しても入学を即決する必要はありません。締切は同じく11月初旬が中心です。

Regular Decision(RD)は、最も一般的な通常出願です。締切は1月から2月初旬。結果は3月末から4月初旬に出ます。

エッセイ・推薦状を準備する 米国出願では、Common App の共通エッセイに加え、大学ごとの補足エッセイ(supplemental essays)を書きます。志望校が多いほど執筆量も増えます。また、教師による推薦状(recommendation letters)も必要です。推薦状は先生に依頼してから書いてもらうまで時間がかかるため、早めの依頼が肝心です。

FIGURE 02

米国と英国の出願スケジュール比較

同じ「高3」でも、出願の山場が来る時期と仕組みが違う。

レーン
8月10月12月2月4月5月

米国

Common App

開く
ED/EA
RD
発表
決定 5/1

英国

UCAS

開始
Oxbridge
一般校
オファー
返答
米国 Common App
英国 UCAS

年度により具体的な日付は変動します。出願年度の最新情報を必ず確認してください。


高3後半:結果を待ち、進路を決める

出願を終えたら、結果を待つ時期に入ります。とはいえ、ただ待つだけではありません。

合否結果が届く 米国 RD は3月末から4月初旬、英国は出願後から順次オファーが届きます。複数校から合格をもらえた場合、ここからが本当の選択です。

奨学金・学費を比較する 合格した大学それぞれの学費、提示された奨学金や授業料減免(financial aid / merit scholarship)を比較します。「合格した中で、どこが現実的に通えるか」を家庭で話し合う時期です。前回の「現在地」で触れたとおり、同じ海外大でも費用は10倍以上変わります。

進学先を決定する 米国には、全米共通の入学決定期限(National College Decision Day)があります。

5月1日。これが米国大学への進学を最終決定する全米共通の期限です。

この日までに、進学する1校を決め、入学の意思を伝えます。英国の UCAS にも、オファーへの返答期限(通常5月から6月頃)があります。

長い準備の末に、ようやく進路が決まる瞬間です。


まとめ

高校3年間の動かし方を、学年ごとに整理してきました。

改めて全体像を振り返ると、骨格はシンプルです。高1で土台(成績・英語の基礎・課外活動の種)をつくり、高2で本格始動(英語試験・SAT/ACT・活動の深化・志望校リサーチ)し、高3で出願と決定を行う。この流れは、米国でも英国でも変わりません。

ただし、出願の時期と仕組みは国によって大きく違います。英国は出願が早く(Oxbridge は10月、一般校は1月)、5校まで・エッセイは1本共通。米国は出願方式が複数あり(ED・EA・RD)、エッセイは大学ごと、推薦状も必要です。

そして、もし「もう高2だ」「高3になってしまった」と感じていても、諦める必要はありません。学力も英語も、集中すれば挽回できます。課外活動も、今から「狭く深く」一つのことに本気で取り組めば、十分に語れる経験になります。大切なのは活動の数ではなく、関わりの深さだからです。

完璧なスケジュールは存在しません。自分が今いる位置から、次の一歩を踏み出すこと。それがすべての始まりです。

Beacon では、この先のステップもさらに詳しく掘り下げていきます。

  • 「学費という現実」 — 国別・大学別の費用構造と、奨学金の具体的な選択肢を見ていきます
  • 「高校選びという起点」 — IB・A-Level・AP など、海外大進学につながる高校・カリキュラム選びを取り上げます
  • 「保護者の不安に答える」 — 学費以外の「お金・安全・キャリア」の心配ごとに正面から答えます

一歩ずつ、一緒に進んでいきましょう。

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